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うさぎも太るの?肥満の原因とダイエット方法を解説!

うさぎはダイエットが必要なほど太ることってあるの?とお思いの方は多いでしょう。

うさぎも人間と同じで、過度な肥満によって病気のリスクが高まります。
この記事では、うさぎはどうして肥満になるのか?どんなダイエットが必要なのか?という疑問にお答えします。

うさぎの肥満はどう見分ければいい?

うさぎが本当に肥満なのか見分けることが大事です。

体重だけで判断するのはやめましょう。
うさぎの個体の体格によって、適正体重は変わってきます。

例えばラビットショーにでるネザーランドドワーフは理想体重が906gですが、
すべてのネザーランドドワーフがその体重が理想な訳ではありません。

うさぎが過度な肥満状態にあるのか、妊娠をしているのか、病気にかかっているのか、
判断が難しければ動物病院でみてもらうのが一番安心です。

なお、うさぎの肥満の見極めには、犬や猫でも使用される「ボディコンディションスコア(BCS)」(下図参照)が用いられます。

出典:大野瑞絵『よくわかるウサギの健康と病気』誠文堂新光社、2018年、p.171

長毛種のうさぎでは一見して体格の違いがわかりにくいため、実際に体にやさしく触ってチェックするようにしましょう。

その他、下記をチェックしてみましょう。

肉垂(にくすい)が肥大化している ※メスの場合

肉垂(にくすい)

出典:大野瑞絵『よくわかるウサギの健康と病気』誠文堂新光社、2018年、p.5

肉垂とは、出産に必要な栄養を蓄える部分です。
肉垂に妙に肉がついている場合も肥満かもしれません。
※個体差があります。

グルーミングができない

グルーミング(毛づくろい)が出来ないのは、肥満の証拠です。
全身の肉が付きすぎてうまく体が曲げられないのです。

盲腸糞を見かけるようになった

「コロコロして乾燥した糞しか見ないけど?」という方は安心です。
普段見かけない柔らかくて臭い糞を見かけるようになったら、肥満のサインかもしれません。

盲腸糞(※)を見かけるようなる理由は2つ考えられます。

  • からだの肉が邪魔をして肛門に口をつけることができなくなった
  • 餌の過剰摂取であるため、食べていない

うさぎは盲腸糞を自分の肛門に口をつけてそのまま食べます。
うさぎの食糞は夜中から明け方に行われるため、盲腸糞があるということはうさぎが食べていないということです。

盲腸便

出典:大野瑞絵『よくわかるウサギの健康と病気』誠文堂新光社、2018年、p.13

(※)盲腸糞とは
盲腸糞というのは、牧草を消化したものを盲腸で発酵させたものです。
盲腸糞には牧草を食べた時に吸収できなかったビタミンやタンパク質がたくさん含まれているので、うさぎの健康には欠かせないものです。

肥満の原因ってなに?

うさぎが肥満になる理由は大きく2つ考えられます。

ひとつ目は、うさぎの品種の特徴として脂肪が多くつきやすい場合です。
ロップイヤーの系統やレッキスの系統は他の品種よりも肉付きがいいため、
太っているのかそうでないのか判断が難しい場合があるでしょう。

ふたつ目は、おやつの食べ過ぎです。
摂取カロリーと消費カロリーのバランスがとれていないことが考えられます。
おやつのあげすぎによる過剰なカロリー摂取などはありませんか?

他には、高齢や環境による運動不足や、避妊・去勢手術による代謝異常が肥満のきっかけとなります。

肥満が招くリスクとは?

肥満自体は病気ではありませんが、過度な太りすぎはさまざまな病気のリスクを招きます。

体重増によるソアホック

肥満になると動きづらくなるため、同じ体勢を取っていたり動かなくなることが多いです。
足裏の同じ場所に負担がかかり続けることで、足の毛が抜け、そこから細菌へ感染し、炎症などの原因になります。

うさぎの病気「ソアホック」とは?

2018.05.13

食糞できないことによる栄養失調

盲腸糞を食べないと、牧草を食べたときに吸収しきれなかった栄養を摂取できないため栄養バランスが崩れます。

グルーミングできないことによる皮膚病

健康なうさぎはグルーミング(毛づくろい)をすることで、体毛を清潔な状態に保ち病気を防いでいます。
これが肥満でグルーミングができないと皮膚病にかかりやすくなります。

人間のような生活習慣病

うさぎも人間と同様で、肥満によって脂肪肝や高血圧、動脈硬化などの病気のリスクが高まります。

手術の際の麻酔量調節が困難

肥満は心肺機能への負担が大きいため、麻酔がかかりにくくなります。
麻酔は健康なうさぎでもリスクが高いのに、肥満ならなおさらのことです。

効果的なダイエット方法

それでは効果的なうさぎのダイエット方法とはどのようなものなのでしょうか。
餌のあげ方と運動への取り組みがカギになります。

ペレットの量を調整する

ペレットは栄養分がバランスよく配合された飼料ですが、上げすぎは肥満に繋がりやすいです。

一般的にペレットをあげる量は、うさぎの適正体重の2%〜4%だと言われています。
それを朝晩の2回に分けて与えるのが一般的ですが、うさぎの肥満の程度によっては1〜3%に減らす、またペレットを1回/日だけにするなど対策する必要があります。

うさぎにペレットを上げる際には目分量でなく必ず計測して与えるようにして下さい。
人間の目から見ると7gも10gも大差ないように見えますが、ご飯が毎食お茶碗で出されるか丼で出されるかくらいの違いがあります。

ペレットをダイエット用のものにする

ペレットをシニア用やダイエット用に変えるのも有効です。
ただ、急に変更すると食べなくなる場合も多いので、少しずつ切り替えるようトライしてみましょう。

同じペレットブランドでの変更にすれば、抵抗が少なくすむ場合もあります。

おやつを無くすか変える

フルーツやうさぎ用クッキーをおやつとして与えていた場合は、量を減らすか中止することを考えてましょう。
フルーツだと糖分、クッキーなどは炭水化物の取りすぎになっていた可能性があります。

フルーツやお菓子の代わりに、生野菜や乾燥野菜などヘルシーなおやつに切り替えるのもいいでしょう。

フルーツはともかく、クッキーなどは本来自然界のうさぎには必要のない食べ物になるので、徐々に減らしていって最終的に廃止するのがベターでしょう。

チモシー(牧草)を主食として意識する

うさぎを飼う際に主食として適しているのはチモシー(牧草)です。
チモシーはイネ科の牧草で、繊維質やビタミン、たんぱく質がバランスよく含まれています。

うさぎの食事がペレットだけだと、チモシー(牧草)由来の栄養分は不足しますし、肥満の原因となります。
ペレットが、チモシー(牧草)よりも多めになっている場合は、比率を変えていく必要があります。

家族が牧草アレルギーの場合
ご家庭によっては牧草アレルギーの方がいてチモシー(牧草)を与えられないという場合もあるかもしれません。
その場合は、「チモシー(牧草)100%のペレット」を使うのがいいでしょう。

いろいろな成分が含まれたペレットはあくまで補助食品として捉えてください。
もしくはうさぎにチモシー(牧草)をあげる際に、手袋や長袖のシャツ・マスク・ゴーグルなどをしてアレルギーを防ぐこと。

適度な運動をさせる

うさぎはもともと外で運動をさせることが必須のペットではありません。
生まれてから屋外に一度も出ないうさぎもいるでしょう。

嫌がることがなければ、ハーネスやリードをつけて近所の公園に散歩に連れて行ってもいいでしょう。
※うさぎの散歩なので「うさんぽ」といいます。

外に出たがらない、高齢だから不安という場合は、家庭で「掘る動作」をさせてあげるといいでしょう。
野生のうさぎは巣穴を掘る性質があり、ペットのうさぎでもその動きは本能として残っています。
柔らかいクッションやマットを与えると、それを使って掘り運動を行うのでダイエットに役立ちます。

ダイエットを行う際の注意点

人間であっても同じですが、うさぎに急激なダイエットを行うことは危険です。

そもそも本当にうさぎが肥満なのかは医師の判断を仰いだ方が良いでしょう。
何かの疾患で肥満のような見た目になっている場合もありますので、その場合は餌を減らすと逆効果ということになります。

また、雑種のうさぎの場合は体格の個体差が生まれやすいので、外から見て太っているようにみえても骨格的には普通の場合もあります。
普通の体格のうさぎをダイエットさせるのはもちろん健康を悪化させます。

まとめ:うさぎの適性体重を見極めて、生活を見直しましょう!

いかがでしたか。
今回はウサギのダイエットについてご紹介しました。

まずは適正体重を把握してうさぎがダイエットが必要かどうか考えること、ダイエットが必要ならば、食事内容や運動状況を改善するようにしましょう。

急激な変化はうさぎの健康を逆に脅かしますので、長期的な計画を立ててダイエットに取り組むようにしてください。

 

<この記事の参考文献>
大野瑞絵『よくわかるウサギの健康と病気』誠文堂新光社、2018年。