日々のうさぎのお世話として、もっとも大切なのが「餌やり」です。
うさぎはもともと森や草原で暮らしていた草食動物で、人間とは違い、牧草などの草を主食としている動物です。
私たちの家族として迎え入れ、健康に長生きできるよう育てるためには、どのような食事管理をすればいいのでしょうか。
- うさぎの餌って何をあげればいいの?
- どのくらいの量が必要?
- どんなことに注意すればいい?
目次
餌は「牧草」と「ペレット(フード)」の2つが基本
うさぎに与える餌は、「牧草」と「ペレット」の2つが基本です。
牧草はうさぎを健康的に育てる為に重要な主食です。
繊維質がたっぷり含まれているので、小さい頃からたくさん食べさせるといいでしょう。与えすぎを心配する必要はありません。
また、ペレットは栄養補助食品のようなもので、成長に必要な栄養素が含まれています。
牧草で補いきれない栄養素をペレットから摂取できるようにしてあげましょう。
繊維質には、ウサギの歯を健康に保つ(臼歯を十分に使う、歯垢を落とす働きが期待できる)、消化管を健康に保つ(腸内細菌叢のバランスを取って腸内環境を正常に保つ、腸の働きを刺激して、蠕動運動を活発にする、腸内の有害物質や飲み込んだ被毛を排出するのに役立つ)といった働きがあり、ウサギの体を健康に維持するためにとても大きな役割を担っています。
出典:大野瑞絵『よくわかるウサギの食事と栄養』誠文堂新光社、2011年、p.9
牧草とペレットは「8:2」の割合で
牧草とペレットは8:2の割合になるように与えてください。
主食となる牧草は、うさぎが常に食べられるようたっぷりと用意してあげましょう。
ただ、牧草を長時間放置したままではいけません。牧草は湿気や汚れが大敵です。
もしも、うさぎが湿った牧草を食べてしまった場合、下痢を引き起こしてしまう危険性もあります。
そして、ペレットはうさぎの体重の3%ほどを、1日2回、朝と夜に分けて与えましょう。
ペレットの場合は、牧草とちがい与えすぎると肥満の原因になるため気をつけてください。
成長期には「マメ科」、大人になったら「イネ科」の牧草を
うさぎの主食となる牧草は、大きく「マメ科」と「イネ科」の2種類に分かれます。
成長期のうさぎ(〜7ヶ月頃まで)には「マメ科」の牧草を、大人のうさぎには「イネ科」の牧草を与えましょう。
イネ科のおすすめ
イネ科でおすすめなのが「チモシー1番刈り」です。1番刈りは繊維が豊富でしっかりした歯ごたえになっています。
歯が弱い子の場合には「2番刈り」や「3番刈り」のやわらかいものの方がいいでしょう。
シーズン最初に収穫するものが1番刈り。栄養価が高く、繊維質も多くなっています。イネ科牧草の栄養量が最大になるのは穂が出始めたときです。
出典:大野瑞絵『よくわかるウサギの食事と栄養』誠文堂新光社、2011年、p.46
マメ科のおすすめ
マメ科の牧草にはタンパク質とカルシウムが豊富に含まれており、若いうさぎの成長をしっかりとサポートします。
また、歳をとって食が細くなったうさぎにも、マメ科の牧草がおすすめです。
また、いつも新鮮な牧草をあげられるよう、牧草はまとめ買いするのではなく、こまめに購入するようにしましょう。
ペレットはやわらかいものを。また、年齢によって変えることが大切
ペレットはさまざまなメーカーから種類豊富に販売されており、おもにハードとソフトの2つの固さのタイプがあります。固すぎるペレットを食べることによって歯の根を痛めてしまう子もいるので、ソフトタイプの方がおすすめです。
硬すぎるペレットは垂直の縦方向に力をかけて咀嚼するため、歯が破折したり、歯根に負荷がかかり、不正咬合の発生要因となります。
また、成長の段階によってペレットの種類を変えることが大切です。成長期にはなるべく栄養価が高いものを与えましょう。高齢になってくると太りやすいため、カロリーが低く繊維が豊富なものがおすすめです。
成長期のうさぎには骨を強くする「カルシウム」が必要ですが、大人のうさぎがカルシウムを取りすぎると「尿石症」の原因になるため注意しましょう。
おやつは「ごほうび」として。水分が少ない野菜がおすすめ
うさぎは野菜やフルーツが大好きです。しかし、牧草とペレットといった普段の食事で栄養は十分に取ることができます。そのためおやつは時々、ごほうびとして与える程度がおすすめです。そして、与える量は1日の食事の10分の1までにし、その分ペレットの量を減らしましょう。
野菜なら「ニンジン」「ブロッコリー」「キャベツ」「セロリ」がおすすめです。またフルーツは「イチゴ」「リンゴ」がおすすめです。しかし、フルーツは糖分が豊富でカロリーが高いため、与える量に注意が必要です。大人のうさぎに対しては1回につきイチゴ半分程度にとどめるようにしましょう。
絶対ダメ!うさぎに与えてはいけない食べ物って?
与えてもいいものは、基本的に牧草とペレットですが、根菜類を与える場合、厚みのある状態で与えると噛み砕く際に切歯や臼歯に大きな力が加わるので、薄くスライスして与えてください。
もちろん、量には制限があります。また、シロップ漬けのドライフルーツや、パン・クッキーといった炭水化物は腸内の異常発酵につながるので、与えてはいけません。
出典:うさぎの病院
また、人間にとっておいしい食べ物でも、うさぎにとっては害があるものもあります。
例えば「コーヒー」「ネギ類」「トマトのヘタ」「ジャガイモの芽や皮」「チョコレートなどのお菓子」「アボカド」があります。
「観葉植物」にもうさぎにとって有害なものがあります。
これらのものはうさぎが届かない場所に置くようにし、万が一、口にしてしまったときはすぐに動物病院へ連れて行きましょう。
まとめ
うさぎが餌を食べている仕草はとても愛らしく、飼い主の心を癒してくれますよね。
元気に長生きするうさぎの寿命は10歳を超えます。環境や食べ物を気をつけてあげることで、健康的に長く一緒にいることができます。
うさぎは自分で食べていいものと悪いものの区別がつきません。お菓子やネギ類といった、食べると毒になる食べ物もあるため、飼い主にはしっかりと知識をつけておく必要があります。
<この記事の参考文献>
大野瑞絵『よくわかるウサギの食事と栄養』誠文堂新光社、2011年。
岡野祐士『はじめてのうさぎの育て方』株式会社大泉書店、2014年。